前回のお話はこちら
渋谷
渋谷に到着したマイ軍はその惨状に戦慄した。109が逆さになって901になってしまっている。アマビエが大きすぎてどうすることもできない。

ただ引き返すわけにはいかない。どんな戦いにも勝ち筋があるはずだ。私はその細い道を見つける必要があるのだ。部下たちに不安の表情を見せてはならない。(ぐぬぬ)
相手は妖怪だ。どうすれば... 頭はフル回転している。
そして思い出した。妹のニブが子供の頃に一人でよく喋っていた。私はふと誰と喋っているの?と聞いたら「えっ。お姉ちゃんは見えないの? ぬりかべくんだよ。いつもいっしょに遊んでたんだ」と。妹のニブには妖怪への親和性があるのではないかと。
部下に、ニブを連れてくるように指示。10分ほどして部下がニブを連れてきた。

「お姉ちゃん。テレビでみたけど面白いことになっているね。アマビエちゃんがご乱心なんてめずらしい。1億年に1回くらいの出来事かな。くくくー」
私は妹のニブに助けを求めた。なんとかならないだろうかという話をしたところ彼女は、すぐに答えてくれた。アマビエはとても優しい妖怪でこんなご乱心はありえない。多分誰かに、洗脳されているのだと思う。
洗脳しているのは誰だろう。私はGOX軍が絡んでいるのではないかと彼女に告げた。GOX将軍かもしれないと...
洗脳を解除するには同じくらいの魔力をもって中和するしかないと思うので、GOXが相手だとすると、人間ではできなさそう。
活路
私は馬鹿なことだと思いながら、妹に聞いた。だ・だれか友達の妖怪にお願いできないの?あっそうね。だれか友達に頼むか!おねえちゃんいいこと言うね。
私はギョッとしながら友達おるんか。そうかそうだよねと心を落ち着けようとした。とにかく頼めるのは、闇属性を持つ妹しかいない。
さっそく彼女はスマホを取り出し、Lineでメッセージを送っている。妖怪との連絡もLineなのかよ。これが時代ってやつか...人間が使えるのだったら、妖怪だって知能があるやつは使えてもおかしくないか。
彼女はぶつぶついっている。
「なんだよ。トーヒはまた既読無視かよ。チッ。ええっと、WHALE A LA MODEちゃんは...」
きらりん!
「お姉ちゃん。友達がきてくれるって。それもアマビエちゃんのマブダチだよ。だから無料でいいって!!よかったね。」
ほどなくしてアマビエの前の空間がゆらぎ何ものかが現れた。まるでモザイクが空間にかかっているようだ

なんだかよく見えない。これが発売前の自主規制というやつか。なんとなく魚に見えなくもないがよくわからない。
WHALE A LA MODEちゃんありがとー。いつもと違いとても元気な声でニブが大声をだしてその空間に声をかけた。ニブは説明をしているようだ。途中日本語ではない言葉も混じっていて、何を説明していたのかわからない。
そのモザイクのかかった妖怪はアマビエと同じ大きさになり、アマビエの方に手をかけた。手を振り払おうとしたアマビエに、WHALE A LA MODEは水を振りかけた。一瞬怯んだ隙に、WHALE A LA MODEは、アマビエを抱擁したように見えた。
その瞬間、巨大な2体の妖怪が消えた。無惨に壊れたビルだけがそこに残った。ニブはスマホに目を向けて、私にいった。WHALE A LA MODEちゃんがアマビエちゃんを海につれてかえってくれたって。よかったね。
危機は脱した。わたしは何もできなかったが。ニブには感謝しかない。GOX軍め。目にももみせてくれるわ。私は、愛する渋谷を破壊された怒りを燃料に戦意をあげて行った。
つづく (次回 マイ編完結)